2015年8月28日金曜日

「食べるものは今日食べて、言うことは明日言え。」


千葉に住むNAさん。昭和19(1944)、自分が小学校2年のとき父が戦死してから必死に自分と弟と妹を抱えて生きてきた母親の言葉を紹介していました。

「食べるものは今日食べて、言うことは明日言え。」

必死に生き抜くため、明日も食べるものがある保証がないなく今日食べられるものがあるなら今日食べておこう。言い返したい時、一晩おいて冷静になってそれでもまだ言いたかったらその時は口にしよう。人生、弱い立場で生きていくときの知恵でしょうか。
この言葉、現在78歳になったNAさん自身これまでの人生で自分に何度も言い聞かせてきた言葉だったのでしょうが、その頃のお母さんにとってはまさに子どもに言うとともに幾度も幾度も自分に言い聞かせてきた言葉なんでしょうね。
戦中・戦後、女手一つで三人の子どもを育てる。決して楽ではなかっただろう生活、そして人生。 育ちざかり食べ盛りの子どもを抱えて明日を考えられない日々だったでしょう。理不尽な扱いに憤りを覚えることもたくさんあったでしょう。そんな時、言い返したくてもぐっと我慢して明日になったら言い返そうと自分に言い聞かせて乗り越えてきたんでしょうね。そして、とにかく食べる物にことかいた戦中・戦後、三人の子どもを抱えてよく乗りきってきたと思うと切なくなりました。 

 私の生まれる前、戦争で夫を亡くしまだ小さかった従兄を連れて実家に帰ってきたおばさん。その後実家に小さい子を残して隣の県で住み込みで働くようになったおばさん。私が中学くらいの時に従兄と一緒に泊まりに行った時「怒りが爆発しそうになった時自分あてに手紙を書く。実際かいているうちに落ち着いてくる。でも時には書き終わってもまだ気持ちの落ち着かないおさまらない時もある。そんな時はその手紙を自分あてに投函し配達されたら読み返してみる。」
その日何でそんな話になったのかは覚えていないけど、辛さ悔しさを話す相手のいない人生を生きるしかなかったおばさんの生きる知恵だったんだと思っています。 

どんな生活を送ってきたのかどんな思いで子どもを育てていたのか。 戦争は多くの女性の人生を家族の生活を壊してきたんだなぁと改めて思いました。

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