2019年8月21日水曜日

矢口史靖監督最新作「ダンス・ウイズ・ミー」 

先日偶然矢口史靖監督の新作「ダンス・ウイズ・ミー」の一部シーンを目にして、賞も取ったし話題になった(宣伝した)「ラ・ラ・ランド」での欲求不満解消のつもりで観に行きました。 この作品誕生の起因は、作中で主人公に直接言わせてもいますがミュージカル映画の「話の途中で突然歌い踊りだす不自然さ」だったそうです。その不自然さ を生かして矢口監督お得意の作品を作ろうとしたのか、ミュージカル映画の不自然さを他の人にも感じさせようとしたのか、さて出来上がった作品はどうだったでしょうか。  今の日本、世界で評価されるダンサーが次々出てきているのは知っていますけれど、個々のダンサー・ダンスは素晴らしくともミュージカル映画となるとどうでしょう。一本のミュージカル映画としての長尺、観客の鑑賞に耐えられるものが出来上がるのか。映画となるとかかわるスタッフも多様な人たちになるし・・・と思いました。 

結果。 矢口監督の以前の作品にもあった要らない間 わざとらしさ で流れがストップさせられるという事はほぼ抑えられスムーズな進行だったと思います。 ダンスシーンは、まさに“ミュージカル”の歌ってそして特に踊ってを途切れさせないでと思うほど楽しませてもらいました。 “広がり”という事では感じることが有りました。いつも何らかの壁というか視線を遮るようなものがあって、ハリウッド映画・ボリウッド映画 昔のレビューのような広がり奥行き人数で違いを感じました。あえてそういう演出だったのかもしれませんが。 特筆は宝田明さん。 日本の作品の主人公はどうしてこうも若い人限定なのか。大人の女性とは違うけれど主人公はもちろんいい出来なんですがそんなことを思います。 印象に強かったのが導入部からの宝田明さん。宝田さんって歳は幾つだったっけ?とびっくり。生きるか死ぬかに置かれた戦争体験のある人だからもちろん若くない。歳なりの踊りと歌声、役になりきっての自然な感じではないんですが、それが舞台・演技を観てる!って感じさせてくれたのです。映画はある意味虚構の世界、一時それを観せてくれているのだと思い出しました。 ベテラン、年齢のいった大人だから出せる味というものでしょうか。
最後のロールで流れたビッグバンドジャズの演奏もよかったですよ。久しぶりのジャズクラリネットの音色、久方ぶりにクラリネットの入ったジャズを聴き返してみようと思いました。

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