2014年6月13日金曜日

「ノーマ・レイ」  久しぶりに観て気づいたあれこれ



ブルーレイでサリー・フィールドの「ノーマ・レイ」が出ました。‐UNION‐と書かれた厚紙を手に机の上に立つシーンが印象的なこの作品、封切りの時だったかどうだったかずいぶん昔に観ました。 久しぶり

 

この映画というと記憶に強く残る ‐UNION‐ と書いた厚紙を掲げて机の上に立ち上がる主人公に呼応して仲間たちが機械を止め工場全体が静かになっていくシーンは今回も感動の場面でした。

ところが今回観てみたら、ラストと思っていたこの場面の後がまだあったんです。

サリー・フィールドふんするノーマ・レイはこの場面の後逮捕・連行されてしまいます。外からやってきた組合活動家の交渉によって釈放され家に帰ってきたノーマはすでに寝ていた幼い子供たちを起こし、自分がしてきたことこれからあるだろうさまざまなことを話して聞かせます。目の前の現実から逃げることなく向かい合うようになったことを感じさせるこのシーンを見て「彼女は変わった」と感じました。幼い子どもがはたしてどれだけ理解したかはわからないけれど、たとえまだ幼い自分の子どもに対してでも真摯な態度をもって接したということは子どもの心に響いたことだと思います。

この後、解雇されたノーマが工場フェンスの外で、切り崩し・妨害もある中で従業員の投票で組合設立が決まった時の歓声を聴くシーン。次の任地へ向かう活動家を見送るシーン。夜の街から昼の明るい光の中でという違いも、ノーマはもう以前のノーマではないとだれの目にもわかるラストでした。

記憶、印象というのは時によって変わってくるものなんだなぁと改めて感じました。

 

久しぶりに観た「ノーマ・レイ」はこんなに昔だったかなぁと思う79年の作品。描かれている時代は78年。(同時進行じゃないの!) 光の具合・色合い・暗さがドキュメント風、とてもシリアス。フイルム・音・絵の作り・画面、手持ちかと思うフレームの動き最初ドキリッとしました。アンチハリウッド映画の雰囲気。

この映画、なんでも実話をもとに作られたそうです。地域の状態・男女関係・女性差別・黒人差別。このころ(1978)はまだまだこのようなアメリカ合衆国南部の“町” だったんですね。  

 こういう閉ざされた地方の小さな町の変革変化は“外から”やって来ます。ノーマは町から出たこともなく取り立てての教育もない。 女性であり、早くに結婚し離婚。今は父親の違う子とともに親の家に同居している。「男がいないとだめなの」と複数の男性と隠れて交際している。

ホテルで男性と密会していたころは、日曜には礼拝に行き信心深い女性と言われ。組合設立のために町の外からやってきた活動家に一人の人間・女性として扱われ、主張してもいいんだと気付き、なすべき目標も見えてきて変わりだし。町に根深く残る黒人差別の中で、黒人と白人が同席しての集会会場としていつも通っていた教会ならと牧師に救いを求めたとき、その牧師もほかの人と変わらず黒人を差別していた。町で差別があろうとも、心のよりどころだった教会の中ならばという根底が崩れてしまって教会にいかなくなると信仰心がないと言われる。

この映画、社会問題を扱った映画ではあるんだけど同時にキリスト教の考え方・文化にまで踏み込んでいる映画だと感じました。

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