今年のながおか映画祭、第19回(2014・9・13~15)はこのところで一番力が入っていたように感じました。もちろん企画・運営にかかわる人たちは毎年一生懸命だったのは間違いのないことだったんでしょうけど巡り合わせというかタイミングもありますし、作品選定・希望と実際に持ってこれるかどうかはまた別ですからね。
今年は10本の上映作品と関係者のトーク。合わせて、16回目となったながおかインディーズムービーコンペティション受賞作品5本の上映がありました。
インディーズのほうは、ある意味一つのイメージを裏切らない素人っぽさを感じさせる知り合いの出演作品も特別賞をもらいました。グランプリは、もうインディーズの範疇を超えてしまった感のある規模そして俳優の演技だった「とりあえずすすめ」。作りとして画面は少し暗めの印象がありましたけれどいい出来だったと思います。
準グランプリになるのかな「風薫」は、そのスタイル・雰囲気が受賞理由でもあったし持ち味でもあったんだけど、総評で指摘されていた“映画なのに映像での表現が弱かった”と同様のことを私も感じました。言うならば「これで察してよ」という感じでしょうか。昔の、「わからないほうが悪い」とか「これで理解しろ」なんかに比べるとだいぶ違いますけどね。
さて、映画祭の上映作品。他所ですでに観ていた作品もありましたのでここで観たのは「アオギリにたくして」。
いやこれが実に印象深かったのです。映画にする段階で脚色はあったでしょうけど、もとは実際にあったこと。原爆の惨禍にあった人々の生きざまを、3・11のその後を取材する中で係わるようになった女性記者の選択・生き方と合わせて描き出したものです。もちろん悲惨、悲劇的なエピソードも描かれていますが同時にその後の人間の素晴らしさ強さも描かれていました。よそならまだしも、同じ広島の中でも原爆被爆者に対する偏見と差別があったのは私の想像を超えるものだったということもよくわかりました。
映画の完成度としても、描ききれないところは全部セリフで言わせてしまうというところがほぼなく。地元エキストラ・素人の台詞の感じが少し紋切な感じがしたところがあったのは確かだけれど、ひところの独立系の作品群に比べると“映画として”の完成度は上がっていると感じました。音楽、挿入歌もよかったですよ。
鑑賞中から感じていた、こちらに強く訴えてくるもの。主人公もその周りの俳優たちの演技、そして舞台あいさつで披露されたプロデューサや制作・監督の人たちの話で、この作品を作り上げるための思い入れ“気”だったということがはっきりわかりました。
テーマがテーマだけにその意味合いを考えると不適切な感じもしますけれど、いろいろな意味で魅了された映画でした。
上映は自主上映・上映運動が主になる作品だと思いますけれど、どういう形であれ係わり続けたいと思っています。
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