2014年12月4日木曜日

キベラの火災で思い起こしたこと


大変なことになりました。キベラで122日火災が発生し、マゴソスクールにまで延焼。焼け出された人も多く、火災による被害を食い止めようと駆けつけてくれた人もいれば混乱に乗じてマゴソの物品を持ち出す人もいたそうです。

この惨事を伝えてくれた永松さんのコメント 

人々はいたって淡々としていたということ。しかも家族を亡くした遺族も。  これを聞いて思ったのは、スラムって日常的に不条理なことが身近に起こるところ。諦めなきゃならないことが日ごろから山ほどある。悔やんでいる時間がない、災難になれてしまっているのだな・・・と。~  

を目にして私は「とうほぐまづりオールスターズ」の白崎映美さんのことを思い出しました。あるインタビュー記事でこんなことを言っているのです。 

~「福島のじっちゃんが、テレビの取材のマイクを向けられて『大丈夫です』と泣いていました。我慢強いんです。私はテレビを見ながら泣いていました。いま、何も解決していないのに、被災が少しづつ過去になり、忘れ去られつつある。自分は、何をやればいいのか悩んでいました。」~  と。

情景が目に浮かび、少し泣いてしまいました。

 

以下早川千晶さんの文章を転載します。祈りましょう。
 

本日122日の正午、キベラスラムで火災が発生しました。
マゴソスクールから少し離れた建物の電気配線から火が出てそれが引火して広がり、あっという間にその地域一体の長屋がいくつも焼けました。
マゴソスクールは図書室側の壁から火が燃え移り、図書室とコンピューター室の壁が焼け落ちました。
長屋が燃えていく中、できるだけの家財道具を運び出そうとする人々が、マゴソスクールの敷地内に流れ込んできました。
その人々を避難させていく一方で、混乱に便乗して盗みに入る人々がなだれ込み、マゴソスクールは食糧、コンピューターなど、多くの重要な物品を盗まれました。
その一方で、マゴソスクールのために助けに駆けつけ、懸命に消火や物品をレスキューすることを手助けしてくれた人々が大勢いました。
その中で、私たちの大切な仲間、私の長年の友人であるジョージ・オケッチが亡くなりました。彼はこれまでマゴソスクールが出してきた3枚のCDのすべてのレコーディングに参加し手助けをしてくれたミュージシャンであり、マシモニ・ユースグループのメンバーです。
そしてマゴソスクールの度重なる建設をこれまですべて手助けしてきてくれた大工でもあり、また、マゴソの生徒の父親でもあります。
3人の幼い子どもとまだ年若い奥さんを残して逝ってしまいました。彼はマゴソの緊急事態に最前線で動き回ってくれましたが、その直後に突然倒れ、そのまま息を引き取りました。
フリーダさんの診療所に横たわる彼は、まるで寝ているように見えて、とてもきれいな顔で、とてもおだやかな表情でした。胸がつぶれそうでした。リリアンと抱き合って大声をあげて私たちは泣きました。リリアンは相当パニックになっていましたが、でもひとしきり泣いて正気を取り戻しました。とにかく子どもたちの安全を、そして焼け出された多くの近所の人々のために緊急にできることを、全力あげてやっていきます。
マゴソOBOGたちを集めて、力を合わせて必要な手助けを総力あげてやっていくように話しました。呆然としている暇もないので、みんなで気合を入れました。
現在、マゴソスクール内には周辺の焼け出された人々が大勢避難しています。
正確な数はまだわかりませんが、現段階で避難してきた人たちは300世帯ほどもいるかとリリアンのご主人が言っていました。
ほとんどすべてを焼かれてしまい失った人々です。当面すぐに必要な食料を買うように手配しました。これから緊急援助をすぐに動いていきます。
給食のお母さんであるママアギーの家も全焼、そして、トニーの家も全焼でした。
すべて焼けた家の前でたたずんでいたアグネスと弟のトムに声をかけたら、すぐにアグネスが「大丈夫だ」と力強く答えました。
今回の火事を経験して、スラムの生活がいかに不安定で様々な危険にさらされているかを痛感しました。
スラムの火事が一気に火が回るという話は前々から聞いていたけれども、まさかこのようなとんでもないスピードだとは想像を超えていました。
いま貧困層がますます増え続け、キベラスラムは平屋ではまかないきれず、二階建て、中には三階建ての長屋まで出てきており、さらに人口密集度が高くなって様々な危険度があがっています。貧困ゆえに安全性が十分ではない煮炊きのための燃料や灯りの方法を使っています。
でもだからといって、ここ以外にいったいどこに行けばいいと言うのでしょう。彼らは生きるためにスラムにやってきて、生きるために様々な工夫を駆使してここで生き抜いています。
その人々が、こうしてあっけなく家族を失い、家を失っても、ただあきらめなければならない、何があってもまたゼロからマイナスから立ち上がって黙々と生きていく様子をいつも見ていて、彼らの人生がもっと楽になって欲しい、もっと報われて欲しいと思わずにはいられません。
そのためには何ができるのでしょうか。次の時代を担う若者たち、子どもたちに、様々な学びの機会を提供していって、意識の根底から変革していくしかないと、そう思っています。
かけがえのない仲間であるオケッチを失い、警備員のオティエノさんが大きくやけどを負ってしまいましたが、マゴソスクールの教員、職員、子どもたちは無事です。
皆様いつも温かい応援をありがとうございます。このようなことがありましたが私たちマゴソスクールは皆で力を合わせて励まし合って、困難をみんなで乗り越えていきたいと思います。これからもどうかよろしくお願いいたします。
早川千晶

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